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映画「武士の家計簿」

気分転換に観に出かけた映画「武士の家計簿」は、
予想外の出来でした。お勧めです。

武士の家計簿ー1
(仕事に不満を言う前に目の前の仕事を一所懸命やるということ。
素晴らしいことですね)


そろばんの音も妙に心に響きましたが、
そろばんが実に美しかったなあと。
そして、そろばんに触れる堺雅人の手もきれいでしたね。

予告編(←クリックしてご覧ください)で、
映画のテイストはお感じになられると思いますが、
主役の武士は、加賀藩の「御算用者」(ごさんようもの)と称される
藩の財政を預かる部署の会計係。
代々そうした仕事をしている家系で6代続いた後の7代目で功績が認められ、
7代目当主(中村雅俊)は少しはぜいたくができるほどに出世。
そのあたりの説明を、ナレーターが過不足なくしてくれるので、
親切な映画でもあります。

武士の家計簿
(社会にも家族にも長幼の序というものがある。
何でも平等だという考えが甘えを助長するのでしょう)


7代目当主を演じている茫洋とした中村雅俊の雰囲気と、その妻役の、
少し幸せ太りが行き過ぎの松坂慶子の姑役がほんのりとして、
主人公のおじ役のなんとも人の善い西村雅彦同様、
思わず笑ってしまうくらいになかなか良かった。

主人公はそうした家の8代目猪山直之という武士で、
これを堺雅人が好演
草食系男児の武士の意地とでもいえばいいか、
これ以外には何も出来ないというそろばんで鍛え抜かれた能力で、
一家の財政の健全化と藩の改革をも結果的に成し遂げていくのですけれど・・・

武士の家計簿ー2
(一家の一大事であっても夫婦の心が信頼で結ばれ、
親子の心が繋がっていれば乗り越えられる。
これって理想だと顔をゆがめちゃいそうなときは、
自分の心を覗いてみたいですね)


そこには近代的自己主張の理屈をこねる姿などどこにもなく、
当然、出来ない言い訳もしない。
出来ないのではなくやらないだけだということを知っているからです。
藩主に仕える滅私奉公の下級武士そのままながら、本物の武士。
草食系でも精神は強靭そのもの。そこにユーモアも生まれるわけで。
自らを信じて努力を惜しまず、これしかないと決断した選択ではブレず、
その実践行動では一歩も退かない。
その律儀さを結果的に浮き上がらせる周囲の人の善い家族らの立ち回りが、
なぜか素直に笑えました。

家族への甘えの構造からいつまでも抜け出そうとしない現代の日本人
そのくせ家族をぞんざいに扱う現代の日本人、
自己中心で言い訳ばかりする現代の日本人、
仕事をするのに他人と比べてばかりいる現代の日本人には、
ちっとも笑えないわたくしですけれど。

武士の家計簿-3
(子供というのはいつの世も自分が小さかった頃の両親の思いなど知らないし
忘れるものです。
大人になって初めてそこに思いが至るのでしょう。
だから、親の心子知らずといいます。)


けれど、すべては、家族を守るため。
こうしたところ、身が引き締まる思いでした。
そこ、堺雅人ならではのものがありましたね。

そんな夫を支える良妻賢妻ぶりを発揮しているのが仲間由紀江でしたが、
若妻役から老け役まで違和感がなかったのは、
猪山直之を演じる堺雅人の穏やかながら心棒のある精錬さが、
質素ながら空気が澄んでいる家の中の美しさと溶け合い、
好々爺のご老人になっても嘘なく生きてきた人生同様に清清しく感じられ、
そのような夫に愛され守られているという誇りのようなものを、
仲間由紀江が感じさせていたからかもしれません。
彼女もまた母親として夫同様に子供たちを守っていきますが、

武士の家計簿
(わが子の教育に父親が責任を持つのは
父として男としてのわが子への愛情です)


子供の教育の責任を果たすのは、
武家社会では父親の仕事。
だからこそ、「公」の精神、公私を峻別する心というものが
子供たちに育くめたのかもしれません。

この傾向は、長子制度があった戦前まで続けられ、
戦後のある時期まで日本では続けられていたのではないでしょうか。
夫が妻に息子の教育を「そろそろ始めてもいいだろうか」と了解を得るところで、
思わず、ああ、生まれる時代を間違えたとつくづく思ってしまいました。
夫唱婦随というと女権拡張運動の方たちは眉を顰められそうですが、
ずっとキャリアウーマンで生きてきたわたくしのようなものでも、
この映画の中の夫婦のように、
家庭の中にあってそれぞれがそれぞれの役割を担い、
そんな相手を認め合い支え合い、そして心から尊重するのが夫婦なら、
そうしたご夫婦というものに、やはり、憧れてしまいます。

現代のように30歳になっても母親にへばりついているような息子や、
成人したわが子の自立を阻むような溺愛ママがなぜ生まれるのか、
考えさせられますね。

観ているときに思わずいろいろなことを考えさせられますが、
観終えた後に胸が熱くなっていました。

日本語ってこんなに美しいのだという感動。
こういう日本人がいたということ、そして、
こういう日本人は少なくなかったはずだと思えたことが、
何だかたまらなく嬉しかったですね。

人生に対して実直であるということ。
仕事に対して真面目であるということ。
家族に対して誠実であるということ。
そうした主人公の姿は実にすがすがしく感動的でさえありました。
責任を果たすために、努力すること。忍耐すること。揺るがないこと。
そうした地道で誠実な戦いを続けられる男性というのは、
やはり、本当に素敵ですね。

いい映画だったなあと。

映画では、その8代目の武士堺正人の子供役の大八木凱斗くんが成人し、
明治政府の中で父に鍛えられたそろばんで活躍する現在から始まります。
往時を回想するというナレーションで進行するのですけれど、
この猪山家の9代目を演じる伊藤祐輝の声がなかなかいいのです。
雰囲気を損なうことなく家族を回想していく話しぶりが素敵でした。

時代は幕末なので、加賀藩の御算用者の武士一家といえども、
藩内の不正や政争、そしてお馴染みの幕末維新の動乱の只中に
家族が巻き込まれていきながらも、
そうした時代を家族の結束と愛情と信頼で乗り越えてゆく物語。
親子三代にわたる父と子の物語をたて軸としつつ、
母と子の、夫と妻との家族の物語です。
他のキャストも違和感なく、本作は、
多彩な才能を展開してこられた森田芳光監督ならではのものがありました。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

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りんたろうさん

本のご紹介、ご丁寧にありがとうございました。いま、経済本に埋もれておりますので、これらを片付けましたら、手にとってみようと思います。
それにしても。りんたろうさん、面白そうな本を読んでいらっしゃるのですね。わたくしも江戸時代について再考してみたいと思いつつ、小説が苦手なせいか、なかなか食指が動かずにおりました。

僕が参考文献として数年前に読んだのがこちら→『黍田村に生きた人々―江戸時代農民の生涯』山田正雄http://p.tl/cDWfで、これは江戸時代の庄屋の資料に加えて、他の資料に想像力を働かせて当時の農民の暮らしを再構成しています。
図書館で借りたものなので再読はしてないんですが、一種のプロレタリア文学を読んでいるような気になりました。作者が対象に感情移入し過ぎでは?と思いちょっと微笑ましくなるような場面はあるのですが、面白い読み物だと思いずっと心に留めておきました。
他にも庄屋に特に焦点をあてたものとしては、同著者の『近世播磨の農民像―黍田村庄屋佐七郎の生涯 』http://p.tl/iObFがあるようです。こちらは未読ですが、上記の『庄屋』に当たるのがタイトルにある人物だったと思います。

もし手に取る機会があったら、是非感想を聞かせて欲しいです!

りんたろうさん

>信州の庄屋さんが残した江戸時代の記録が本になってるんです

何という本か教えてください。最近そういう本に飢えております。この映画も史実に基づいているそうで、原作を読んでみようと思っておりました。

ケロリンさん

こんばんわ。チャンバラ映画が大好きなわたくしにとって、人が刀で斬り殺されるような殺陣のシーンが一つもないこの映画は、実に新鮮でした。というのも、そうした映画なのに実に張りつめた空気が流れているのです。ぜひ、ご覧になってください。
財務大臣や財務官僚たちにぜひ見てもらいたい映画でもありますけれど、彼らはおそらくこの映画の素晴らしさは分らないでしょう。

 これ面白そうですね~!
 
 信州の庄屋さんが残した江戸時代の記録が本になってるんですが、それを基にした映画を作っても面白そうだと思いました。

常在戦場

この映画はまだ見てませんが、面白そうですね。まさに「葉隠れ」そのものですね。
江戸時代の260年間が日本人を練り上げて来たのでしょうね。貴重な財産でした(過去形)。
ちかごろの歴史ブームという風潮があるなら、ぜひ見直して欲しい精神です。

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