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自殺者が増え続ける国をどう思うか・・・・軍隊から家庭にいたるまで自殺する社会

警視庁の発表を眺めていたら、ため息が漏れました。
平成21年度の自殺者の数と今年に入ってからのその暫定値が公表されました。
ネットでもご覧になれます。2008年度の自殺者総数、3万2249人。
3万人を超える人たち、その人数・・・具体的にイメージできる方は、
どれだけいらっしゃるのでしょうね。


都内では毎日のように電車に飛び込んで亡くなっているようで、
こうした飛び込み自殺があっても、せいぜい気にするのはダイヤの乱れくらいで、
いまや誰も驚かなくなっているという話も耳にします。
自ら死んで行く人たちが、後を絶たない。

自殺者が3万院を超えたという報道に初めて驚いたのは、もう10年以上も前。
中高年(40代半ば~50代半ば)の男性の自殺者が増えたからだと言われましたが、
その理由として挙げられたのは、当時の経済的な社会現象。
不良債権処理などによる貸し渋りや貸しはがしなどによる経営不振、
そして過労死といった原因も問題視され、
中年男性のうつ病もやっと注目されるようになったものでした。
以後、自殺防止のいろいろな予防策が講じられ、
いまもボォランティアの方たちも頑張っておられるけれど・・・・、

相変わらず50歳前後になると自殺する男性は少なくありません。
戦乱の世の人生50年といった考え方に沿えば、21世紀となったいまも、
男性に用意されている人生は戦いの人生で、
それ以外の選択肢は考えられていないのかもしれません。

けれど、今般は、30代の自殺者が過去最多になったそうで、
その自殺者は、5000人近い(4850人)・・・・

自殺者の職業を見てみますと全体の56.7%が「無職者」でした。
30代で職を失った男性の自殺が増えたのだとすれば、
半数は既婚男性でしょうか。そうだとするなら、
ご本人の自殺によって遺族の人生も大きく変わってしまわれたことでしょう。
あるいは、その逆だったのか。
いずれにしても心身の支援が必要な人たちが、
それだけ増え続けていることになる・・・・・
自殺の理由として大きく挙げられていたのは、
「経済・生活問題」(7404人)と「家庭問題」(3912人)でした。
合わせて1万人を超えています。

こうして見ると、自殺者が出た家庭には、
自殺防止の機能さえなくなっていると言われても返答のしようがありません。
これでは、少子化は進行することはあってもやむことはない。
結婚したいと思う人たちが増えるのは、
結婚っていいなあ・・・と
思わせてくれる家庭が身近になければ無理ですものね。

けれど、忘れてならないのが、
自殺の理由でもっとも大きかったのが、健康問題」を悲観しての自殺でした。
その数、1万5135人。ここでため息も大きくなりました。

どうしてこんな社会になったのかしら・・・・

バリアフリーや共生社会などという言葉がいまなお国民の間に浸透せず、
標語で終わっているようなところがあるのは、
健常者を中心として考えられている社会だからであり、
しかも、健常者でも健康で生産人口を構成する人々を基準にして運用されている社会。
そこでは、健康に支障をきたした途端、社会からはじき出され、
人生も終わりだと考え思い込んでしまう人がたくさんおられるということなのかもしれない。

もしそうだとするなら、
この日本社会は健康者のものだということになりますね。
それを容認するがゆえの自殺ということになるのかもしれません。

そして、自殺者は圧倒的に男性が多い。
これは以前から指摘されてきましたけれど、
由々しいことだと改めて思います。

男性が死を選びやすいとしたら、その理由はどこにあるのか。
この社会が、女性以上に男性にとって生き難いとするなら、
男性にとって生きやすい社会とはどういう社会なのか。
そういったことが真剣に考えられているのでしょうか。

このままでいいはずがないのに・・・・、
息子のいる身として、いずれハズを持つ娘を持つ親として案じられますが、

ヒト科のメスとしてこうしたオスの自殺を眺めると、
適者生存という法則が働いて、強いオスが生き残り、
メスは生き残ったオスを奪い合うこともなく共存していくとしたら、
弱いオスの自殺はメスにはノープロブレムということになるのでしょうか。
けれど、人間社会の女性はそういうわけにはいきません。

以下は、今年に入ってのものですが、
自殺者の男女別を集計したもの。

1月
男 ・・・1898 女 ・・・761
2月
男 ・・・1775 女 ・・・706
3月
男 ・・・2242 女 ・・・827
4月
男 ・・・2156 女 ・・・871

男は女より弱いからだ・・・などという御託を、いくら語ったところで、
この男女差は解決しない。
何が、これだけの差を生んでいるのでしょう。
「男の子は男らしく、女の子は女らしく育てよ」というのは、いまでは≪差別≫とされ
性差による差別の解消が推し進められていますが、
それが、「らしさ」「らしく」といった性別役割の中にあった知恵を超えるものなのか。

無論、わたくしも性差別はするのもされるのも許せないと感じる。
また役割を外から押し付けられるのも嫌い。
だから、女性だから飯を作れと言われるのは、正直、たまらない。
女が男の補助的な人生を送る時代は、終わったのです。
でも、それで多くの男性が生き難いと感じているのなら、
女性は、生き易くなる道をいっしょに考える義務がある。
共に生きるというのは、そういうことだから。
男と女が共に生きる道を探るのは、人類の知恵のはず。
新しい時代に合った知恵を持たなければ、
いずれ社会は反動を生む。


昨年度の自殺者を地域別に見たデータもあります。
そこに自殺の原因を見ることは可能だろうか。

東京都 ・・・1019
大阪府 ・・・ 712
埼玉県 ・・・ 646
神奈川 ・・・ 609
愛知県 ・・・ 544
北海道 ・・・ 526

兵庫県 ・・・ 470
福岡県 ・・・ 432
千葉県 ・・・ 529

東京都とその周辺の自治体を合わせた首都圏が圧倒的に多いです。
首都圏人口の1割になるのではないでしょうか。
けれど、都市部に多いからといって、自殺を強いる問題が都市にあるとも思えない。
そこで暮らせないから死ぬというのでは話にならない。
そこで暮らせないなら暮らせるところに移るという選択肢は残されているのだから。
人の集まる都会での孤独などというのは、いまに始まったことではないし、
孤独な大衆を論じたリースマンにいまさら論拠を求めるのもむなしい。

ただ、昔はなかったように思うのは、以下の点。
自殺者が発生しているのは
会社、家庭、学校、といったところかりではなくなったということ。
軍隊においても起こっているということではないか。

自衛隊員や兵士の自殺が増えている・・・
兵士が、戦闘以前に自ら死を選ぶことによって死んでいくなど、
昔は聞かなかったように思うのです。
以前ここのブログで取り上げた自衛隊員の自殺同様に、
軍事超大国アメリカの陸軍において
自殺禁止命令が出されるほど自殺者が相次いでいるとか。
こうした現象を総合的に見たらどういうことになるのか。

昔の人たちなら、≪末世≫だと口にされることでしょう。

死にたいと思って自殺を断行する人たちを止めるのは難しい。
わたくしは、自死の自由もあると考えている人間なので、
自分のその自由を尊重してもらいたいと思うように
相手のその自由も尊重したい人間ですが、
自由には責任も付随することを思えば、
近親者、とくに子供たちに衝撃を与える死に方や、
死後に多くの人たちの手を煩わせる死に方は認めるわけにはいかない。
そういう自殺には罰則もアリ、にしてもらいたいほど。

その一方で、
まじめに生きてきて家庭や社会に貢献してこられた方が病を得たり、
年老いて病気になったときに自殺するしかないなどという社会では、
すでに社会の役割を果たしていないわけで、
そんな惨めな究極の選択をすることなくそれ以外の選択肢を選べるように、
医学の可能性を追求する研究費や、
診療や看護を受ける医療現場を整備し、
働けなくなった人たちの社会保障を整備するためにこそ、
わたくしは税金を支払いたい人間なので、
健康な人間中心の社会や健康な働き盛りの男性が自殺する社会に、
憤りも感じるわけです。


自殺者が増え続けている社会をいいと思わない人は、
自殺を思いつめる人がなくなるような社会を目指す政治を、
次の選挙までにじっくり考えてみたいものです。
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